漢方基礎講座
03. 五行とは?


I. 五行学説

「五行学説」は、前回ご紹介した「陰陽学説」とともに中医薬学の理論体制の基礎である。
 世界のあらゆるものは「木・火・土・金・水」という5種類の性質に分類され、その相関関係であらゆるものを説明できるという考え方です。

(1) 「木」
樹木が外に向かって生長する様子を指し、生長(四方に伸びること)、上昇の性質を持つものは「木」に属す。
(2) 「火」
炎が燃え上がる様子を指し、温熱、上昇の性質を持つものは「火」に属す。
(3) 「土」
土が農作物を生長させる様子を指し、産生(生み出すこと)、支持(支えること)の性質を持つものは「土」に属す。
(4) 「金」
金がさまざまに加工や収斂(広がっている何かが一点に集まる)できる様子を指し、清潔、粛降(下方への移動)、収斂の性質を持つものは「金」に属す。
(5) 「水」
水が万物を潤し、流れる様子を指し、寒涼、滋潤(うるおい)、下行(下に向かう運動)の性質を持つものは「水」に属す。


II. 自然界と人体の五行属性
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五行の分類

(1) 五方(方位)
・ 「東」は太陽の昇る方位で上昇を意味するため「木」に属す。
・ 「南」は暑さの方位であるため「火」に属す。
・ 「西」は太陽が沈む方位で粛降(下方への移動)を意味するため「金」に属す。
・ 「北」は寒冷の方位であるため「水」に属す。

(2) 五臓(臓器)
・ 「肝」は気(エネルギー)を全身に行き渡らせることを主な機能とするため「木」に属す。
・ 「心」は血流を促し、温める作用を主な機能とするため「火」に属す。
・ 「脾」は栄養・水の吸収を主な機能とし、生命を支えるため「土」に属す。
・ 「肺」は呼気や水分を粛降(下方へ移動)させることを主な機能とするため「金」に属す。
・ 「腎」は体内の水(水液)の運行を主な機能とするため「水」に属す。


III.五行の相互作用
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相生(そうせい)

(1) 相生(そうせい)
ある事物(モノ)が一方のモノを促進するはたらきのことをいい、母子関係に例えられる。
・ 「水」→「木」: 水は木を養う。「水」は「木」の母。
・ 「木」→「火」: 木が燃えて火を生む。「木」は「火」の母。
・ 「火」→「土」: 火によって土が養われる。「火」は「土」の母。
・ 「土」→「金」: 土から金が出る。「土」は「金」の母。
・ 「金」→「水」: 金から水が出る(中国の故事より、金の多く取れる山から水が多く湧くことの意味)。
「金」は「水」の母。

相剋(そうこく)

(2) 相剋(そうこく)
あるモノが一方のモノを抑制するはたらきのことをいう。
・ 「木」→「土」: 木は土から養分を奪う。
・ 「土」→「水」: 土は水の流れをせき止める。
・ 「水」→「火」: 水は火を消す。
・ 「火」→「金」: 火は金を溶かす。
・ 「金」→「木」: 金(斧)は木を切り倒す。


(by 漢方アドバイザー・PhD.Ar)

※「漢方の知識」のページでは、内容をわかりやすくするため、漢方理論を単純化してご紹介しています。  実際の治療方法とは異なっている場合がございます。ご了承のほど、よろしくお願いいたします。




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