漢方基礎講座
06. 五臓(2) 肝・腎


IV. 肝

 肝は、気を全身に行きわたらせることを主な作用とするため、 五行では「木」に属し、経絡を通じて六腑の「胆」と密接に関係します。
 人体の「気」の流れをスムーズにし、血液や津液の運行を調節します(主疏泄)。
⇒ 精神活動は気の流れにより調節されるため、肝の機能が低下し気の流れが悪くなると、憂鬱や怒りやすいなど精神が 不安定な状態となります。中医薬学では「激しい怒りは肝を傷つける(暴怒傷肝)」とされます。
⇒ 肝の気からの胆液生成や脾・ 胃の気の流れの調節によって、脾胃の消化吸収を促進します。
⇒ 気の流れの調節によって、血液の正常な運行や津液の分布・ 代謝をコントロールします。
 血液を一定量貯蔵し、体内の血流量を調節します(主蔵血)。
⇒ 人体や臓器・ 器官の活動量や精神状態、外界の気候変化などにより、肝は蓄えた血液を配分、回収し、 各部位の血流量を調節します。例えば、安静時や精神的に安定しているときは、身体の外周部に必要な血液量は少ないため、 肝臓に回収されます。
 肝の状態は目に表れ、機能が低下すると視力低下や眼精疲労などの症状が表れます。


V. 腎

 腎は、体内の水(水液)の運行を主な作用とするため、   五行では「水」に属し、経絡を通じて六腑の「膀胱」と密接に関係します。
 父母から受け継いだ生殖の精である「先天の精」と、飲食物から得た栄養である「後天の精」、 すなわち「精気」を貯蔵します(主蔵精)。
 貯蔵した精気を用いて人体の生長・ 発育を促します(主生長・ 発育)。
⇒ 腎の精気が旺盛な幼年期?青年期には生長が迅速ですが、加齢とともに腎の精気は徐々に衰え、髪が白くなり、生殖機能の減退、 歯や聴力の衰えなどが起こります。
 腎に貯蔵された「先天の精」からなり「後天の精」の滋養によって成熟する「天癸(てんき)」は、 生殖機能の成熟を促します(主生殖)。
⇒ 天癸の成熟は青年期に起こり、第二次性徴を促します。また、天癸は、加齢とともに衰退するため、中?老年期には生殖機能が 徐々に衰えます。
 体内の津液の分布、排出を調節し、津液の代謝バランスを維持します(主水液)。
⇒ 腎は津液を「清」と「濁」に分離します。清なるものは三焦(六腑の一種で津液の通路)を通じて肺まで上昇し再利用され、 濁なるものは膀胱へ下降し尿として排泄されます。
 肺の吸い込む清気を取り入れることで、正常な呼吸活動を維持します(主納気)。
⇒ 中医薬学では、人体の呼吸は肺で行った後、吸い込まれた清気が腎に収められることで、順調な呼吸が可能になるとされます。
 腎の状態は主として耳に表れ、機能が低下すると耳鳴りのほか生殖機能の衰えなどが起こります。


中医薬学では、五臓は共同で人体の精気の生成や貯蔵を行い、精神活動もコントロールするとされ、現代西洋医学の臓器とは 異なった概念であることがご理解いただけたかと思います。


(by 漢方アドバイザー・PhD.Ar)

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