龍眼肉(リュウガンニク):生薬・漢方辞典

●医薬品原料 漢方系生
龍眼肉(リュウガンニク)
  • 語源
    Euphoria :ギリシア語 eu「良い」+phoreo「生ずること、もたらすこと、運ぶこと」による。美味な果実を多数生ずることに由来する。
    longana :中国名「龍眼」による。果実を龍の眼にたとえたもの。
  • 基原
    リュウガン Euphoria longana (= Dimocarpus longan)ムクロジ科 常緑小高木
  • 薬用部分
    仮種皮
    直径2cmくらいの球形の果実で、淡褐色のやや硬い果皮の中に黒褐色の種子を包んだブドウの果肉のような白い果皮があり、この果肉を利用する。
  • 産地
    中国(広西、福建、四川、雲南、海南島、台湾など)。インド原産と言われており、今日では果樹として中国南部、台湾での栽培が多い。中国の福建省産が良質とされるが、薬用には広西省産を用いることが多い。

龍眼肉(リュウガンニク)
龍眼肉(リュウガンニク)

  • 主な成分
    フラボノイド: クエルセチン、クエルシトリン
    糖類: ブドウ糖、ショ糖
    アミノ酸誘導体: 2-アミノ-4-ヒドロキシヘプチノン酸およびその誘導体
    有機酸: 酒石酸
    脂肪、タンパク質
  • 主な薬効
    鎮静、滋養強壮に処方され、物忘れや不眠症状にもよく、神経の興奮を鎮める効力があるといわれている。
  • 代表的処方
    【帰脾湯】 キヒトウ
    虚弱体質で血色の悪いものの貧血、不眠症に用いる。
    (処方内容) 人参/朮/茯苓/酸棗仁/龍眼肉/黄耆/当帰/遠志/甘草/木香/大棗/生姜

    【加味帰脾湯】カミキヒトウ
    虚弱体質で血色の悪いものの次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症、血の道症
    (処方内容) 人参/朮/茯苓/酸棗仁/龍眼肉/黄耆/当帰/遠志/柴胡/山梔子/甘草/木香/大棗/生姜/牡丹皮
  • 文献報告
    【抗うつ作用】Adenosine, the anxiolytic-like principle of the Arillus of Euphoria longana.
    (Planta Med. 1999,65,115-9)

    【免疫賦活作用】】Immunomodulatory activity of polysaccharide-protein complex of longan (Dimocarpus longan Lour.) pulp.
    (Molecules. 2011,16,10324-36)
  • 参考文献
    「日本薬草全書」「日本薬局方」「漢方のくすりの事典」「和漢薬の事典」「原色牧野和漢薬草大図鑑」