龍胆(リュウタン):生薬・漢方辞典

●医薬品原料 漢方系生
龍胆(リュウタン)
  • 語源
    Genti ana:本植物の薬効を記載したエジプトIllyri a王の名(Gentius)から。
    scabra:茎葉がザラザラという意味。「龍胆」は、苦味の強いことでよく知られる熊胆に比べても苦味が劣らないところから龍の胆と名付けられた。植物名のリンドウは「リュウタン」が訛ったもの。
龍胆(リュウタン)
  • 基原
    Gentiana scabra トウリンドウ
    Gentiana manshurica マンシュウリンドウ
    Gentiana triflora リンドウ科 多年生草本
  • 薬用部分
    根及び根茎
  • 産地
    中国(東北、内蒙古、華中)、韓国、日本
  • 主な成分
    苦味配糖体(ゲンチオピクロシド、トリフロロシド、ベンゾイルトリフロロシド、リンドシド、スウェルチアマリン、スウェロシド、スカブラシド)、キサントン類(黄色素:ゲンチシン)、糖類(ゲンチアノース、ゲンチオビオース)、ゲンチシン酸
  • 主な薬効
    胃液分泌促進、腸管運動促進、抗菌、抗炎症作用など
  • 代表的処方
    主として漢方処方用薬であり、尿路疾患用薬とみなされる処方及びその他の処方に少数例配合されている。

    【龍胆瀉肝湯】 リュウタンシャカントウ
    頭痛、目の充血、脇痛、口の苦み、耳聾、耳の腫れ、舌の紅みと舌苔の黄色、陰部の腫れ、陰部の痒み、小便淋濁、帯下が黄色く臭い、比較的体力があり、下腹部筋肉が緊張する傾向があるもの(排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけ)
    (処方内容) 当帰/地黄/木通/黄芩 /沢瀉/車前子/龍胆/山梔子/甘草

    【加味解毒湯】カミゲドクトウ
    血色のよい比較的体力があるものの次の諸症: 小便がしぶって出にくいもの、痔疾(いぼ痔、痔痛、痔出血)
    (処方内容) 黄蓮/黄芩/黄柏/山梔子/柴胡/茵蔯蒿/龍胆/木通/滑石/升麻/甘草/灯心草/大黄
  • 文献報告
    【健胃】生薬の薬物学的研究 (第4報) リンドウ科苦味生薬のラットの胃液分泌ならびに生長におよぼす影響
    (藥學雜誌,1961,81,1387-9)

    【肝保護】Gentiana manshurica Kitagawa prevents acetaminophen-induced acute hepatic injury in mice via inhibiting JNK/ERK MAPK pathway
    (World J.Gastroenterol,2010,16,384-91)
  • 参考文献
    「生薬単」「日本薬局方」「牧野和漢薬草大図鑑」「漢方のくすりの事典」「和漢薬の事典」「家庭の民間薬・漢方薬」「日本薬草全書」